香り米の特徴・由来など
香り米(かおりまい)とは、米のうち、玄米に香りを持つ品種のことを指します。
麝香米、匂い米、香子(かばしこ)、鼠米、有臭米とも呼ばれます。
世界的に最も高価な米として流通しており、特にインド・パキスタンのバスマティ、タイのカーオホームマリ(通称ジャスミンライス)が有名です。
香りの発現は、栽培中および収穫後の環境によって影響します。
日本で行われた調査結果によると、
- 標高が高く昼夜の気温差の大きい地域で栽培した方が香りが強い
- 施肥量を多くすると香りが弱くなる
- 出穂後30日を経過すると徐々に香りが薄くなる
- 高温で乾燥させると香りが失われる
などの特徴があるとされています。
また、香り米の有力な香り成分であるアセチルプロリンは米粒の外側に多く分布しているため、精白の歩合が高まるに従い香りが弱くなります。
香り米は
- 吸肥力の強い
- 棚田などの環境不良田であっても育成が比較的容易
- 病害虫や環境の変化にも強い
などの特徴があり、
- 肥料を多くやり過ぎると香りが少なくなる傾向がある
- 丈が長く倒れやすい
- 収量が少ない
などのデメリットもあります。
飯として調理されるのが最も一般的な用途で、香りの強い品種(ヒエリ、ハギノカオリなど)は香りのない米などに3~7%程の割合でブレンドして調理されることが多いです。
日本国外の香り米
- バスマティ(Basmati)
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西北インドを中心に、インド・パキスタンで栽培されている品種。
インダス川流域で栽培されているものは最高級の香り米として知られる。 - カーオホームマリ
- タイで栽培されている品種。高級品種で主に輸出用。
- カオダクマリ(Khao Dawk Mali)
- タイにおける香り米の最高級品で、同国の有力な輸出品となっている。
- RD6
- タイで栽培されている、カオダクマリを人為的に突然変異させた品種。
- ジャシミン85
- フィリピンで開発され、アメリカ南部で栽培されている品種。主に東南アジアへの輸出用。
- A-301
- アメリカのカリフォルニア州で育成された品種。
- ブリムフル
- ネパールで栽培されている品種。
日本の香り米
- みやかおり
- 宮城県古川農業試験場が県在来の香り米をもとに育成した、日本初の改良品種。
- はぎのかおり
- 宮城県古川農業試験場が「みやかおり」をもとに育成。収量が普通品種並みに多い。
- ヒエリ(冷選り)
- 高知県で在来種から選抜され育成された品種。
- さわかおり
- 高知県農業技術センターがヒエリをもとに育成した品種。香りがヒエリよりも強い。
- キタカオリ
- ラオスの品種「タンゴン」に北海道の在来品種を交配させて育成された品種。
- サリークイーン
- 日本で栽培すると出穂が遅いパキスタンの高級品種「バスマティ」を、「日本晴」との交配により日本で栽培できるよう改良した品種。
- 日向かおり、ヒムカライス
- ともに宮崎大学がネパールの品種「ブリムフル」をもとに育成した品種。